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真善忍国際美術展作品ー中原の難
作者:李圓  題:蒙難在中原(中原の難)

西洋絵画技法において、初心者はまず対象物の外形(正確な比例、構造、造形透視を含む)を、次に立体感及び空間のバランスをしっかり把握することが要求されます。そのほか、対象物の質感を把握することも重要です。例えば、人間の肌を描く場合は木材や金属のように描いてはなりません。これらの基礎を会得してから創作の段階に進むことができるのです。作者は絵を観賞する人々に自分の意図を伝えるために、絵画の内容をよく考えてから構図を作っていきます。しかし、最も難しいことは、作品に精彩で人々の心を感動させるような生命力を注ぐことにあるのです。

 「真善忍国際美術展」(*)で展示された李圓(リー・ユェン)氏の作品「中原(黄河中流・下流の地域、)の難」は、基礎がしっかりしているうえに、さらに真に迫る画面と感情表現の素晴らしさが人々を感動させます。

 この作品は上下左右対称の十字形構図を取っており、バランスよく落ち着いた荘厳な作品です。十字は西洋の宗教で「殉教」及び「犠牲」の内容を連想させ、作品の内容と非常に合致しています。色彩的には、明暗がはっきりしている背景を選び、真ん中の主役を強い光で照らしています。このような描き方は17世紀のバロック絵画方式で、イタリアのカラヴァッジオ及びオランダのレンブラントなどが代表的な画家です。強烈な明暗対比が作品の主題、悲しく痛ましい情況をさらに強調しています。

 画面は簡潔で、また、絵画を観賞する人々に何が起きたかを詳しく伝えることができます。涙の止まらない妻が横たわった夫の側に悲しく座っています。亡くなった夫の青く変色した肌は、泣くという感情によって赤みを帯びた妻の顔の色と際立った対照をなしています。血痕と傷跡は、夫が生前に虐待を受けていたことを物語っています。ベッドから垂れ下がった腕の先にある破かれた紙の内容から、死亡した原因は夫が自分の信条放棄を固く拒んだことが伺えます。

 画面の中央に座っている妻の表情は作品の核心として、最も重要な部分です。夫を失った妻の悲しい心情はとても言葉では表せないものです。特に普通の傷心ではなく、高ぶる感情を懸命に押えて堪え忍ぶ妻の苦痛は、号泣より、さらに強く人々の心を打つものです。妻はなぜ感情を抑えつけようとするのでしょうか。中国大陸の法輪功学習者は不当な待遇を受けても、酷い迫害を訴えるところがないうえに、身の安全さえも保証されないことを憂慮するからです。また、彼女は修煉者としての自覚に立って、悲しみを乗り越えるように個人感情をコントロールしようとするということもあります。

 両腕で自分の胸を強く抱きしめ、悲しみ、憤慨、悔しさ、そして恐怖に耐えながら、それに打ち勝つ強い決心と毅然たる態度が描かれています。悲しみの中でも理性を保ち、心の痛みを乗り越え、自分の修煉の道を歩もうとする姿がリアルに表現されています。

 作品中の人物についての表情及び感情は、画家が描かれる者の立場に身を置いて様々なことを考え、また、感じてから初めて真に迫る作品を描くことができます。作品の表現は画家自身を表すものでもあります。この作品の作者は、中国大陸の法輪功学習者の境遇に自分の身を置いて考え、感じることができたに違いありません。

 (*)真善忍国際美術展で展示された多数の絵画作品は、中国の法輪功学習者に対する現行の迫害事実に基づいて描かれたものです。